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蛙の王子
1995年の12月は末の頃から撮り始めたもの。翌年正月に撮り終わっています。この時に初めて小道具に蛙などの玩具を使い、物語風に作品を作ることを思い付いた。またこのシリーズより、本格的に山崎が着色をはじめた。 |
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物語風の初めての試みなので、割と童話の原作に近いカタチでストーリー展開している。 下の文章は村田版のテキスト。京都書院の倒産により、出版されないままのストーリーとなる。 |
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昔あるところに、ぬらぬらしたものが大好きなお姫さまがいました。 幼い頃より庭の池に棲む蛙を追いかけ、捕まえてはそのぬるぬるした手触りにうっとりしていました。 そして夜には台所に忍び込み、手のひらの上に生卵を割り、 それを喜々と弄びました。王さまもお妃さまもお困りになりましたが、 ひとり娘の可愛さ故、きつく叱るようなことはありませんでした。 幼いお姫さまの夢は生卵一杯のお風呂につかり、身体中にそのぬめりを感じたいというもので、 いつもそのことを想像すると失禁してしまいました。 長じて十の頃、お姫さまは燭台の灯された蝋燭を見つめ、その流れる雫に身震いしました。 思わず燭台をつかむと、流れる蝋をそっとご自分の手の甲に垂らしました。 恍惚のうちに蝋燭は燃え尽き、蝋でお姫さまの手は白く爛れた手袋をしているように見えます。 お姫さまはいつしか全裸のお姿で全身蝋にまみれたいと願うようになりました。 そんなお姫さまも婚期を迎え、各国から婿候補の王子さまたちがやって来ました。 でもお姫さまは誰もお気に召しません。だって誰もぬるぬるとしてはいないからです。 ある夜、お姫さまの叫び声がしました。聞き付けた家臣が、ドアを蹴破って寝所に駆け付けると、 お姫さまの股間から蛙の足が二本突き出てもがいておりました。 実は大きな殿さま蛙を捕らえたお姫さまが、慰みにご自分の秘所に入れられたのですが、 あまりの大きさに感極まって叫ばれたのです。 次の朝、その忠義者の家臣は直ちに首を刎ねられました。 しかしそれから、この国のお姫さまは夜な夜な蛙と交尾しているなどという悪い噂が流れ 、 お婿候補に現れる王子さまはぱたりといなくなりました。 ある嵐の夜、一匹の雨蛙がお城の戸を叩きます。 大きさはなんと人ほどもありました。 「花婿候補に来ました」 大蛙は言います。 王さまをはじめ城中のものが、この訪問者の入城を反対しましたが、 こっそりこの客人を覗き見たお姫さまの切なる願いで、なんとかお客として招き入れられました。 真夜中、お姫さまは闇に紛れてこの客人の部屋に忍び込みました。 なぜなら、お姫さまはこの大蛙を見たときから身体中が疼き、切なさでもう生きて行けないほどだったからです。 大蛙はお姫さまの姿を闇の中で見つけると、大胆にも求愛の粘液でお姫さまをべとべとにしてしまいました。 お姫さまは今までのどんな想像よりも素晴しいものを手に入れたのです。 大蛙との交尾は蛙の出す粘液がお姫さまの愛液と混じり、それはもうベッドの上から床中に溢れ出るほどでした。 粘液まみれのお姫さまは腹這いになり、お尻を高く突き出しました。 それは、お姫さまが幼い頃より幾千と見た彼らの交わり方だったからです。 そして、お姫さまは存分にぬめりを楽しみ、同時に池の蛙では味わえない絶頂を朝まで何度も経験しました。 夜明けと共に、突然大蛙はひとりの美しい王子さまに姿を変えました。 「私は邪な魔女に求愛され、拒むと蛙の姿に変えられました」 お姫さまは、美しい王子さまの姿を見て大いに驚きました。 「呪を解くには美しい姫と一夜を過ごさねばなりません。 そんな機会はここ百年ありませんでしたが、お姫さまの噂を聞き付け、一縷の望みのもと、やって参りました」 お姫さまは大変感心なさいましたが、姿を変えた王子さまになんの興味もなく、 日が高く昇る頃には、その首を刎ねるようご命じになりました。 お姫さまの夢の姿から唯の王子さまに姿を変えたのが許せなかったのです。 こうして、お姫さまはまた庭の池の蛙と日々戯れているということです。死んでいなければ今でも幸せに暮らしているでしょう。 |